岩手県北上市立江釣子小学校  指導案

 
2 基本構想に基づく指導試案の作成
音楽をつくる活動と情報活用の実践力の育成に関する基本構想に基づく指導試案を以下に示す。
第5学年 音楽科学習指導試案
学校名 北上市立江釣子小学校
対象学級 第5学年  1組、2組、3組、4組
授業者 T1 黒柳 健一
T2 1組 望月 百合 2組 佐藤 和行
3組 熊谷美紀子 4組 志藤 修
単元名「ふしづくりをしよう」
 
単元について

音楽科においては、表現領域の中に「音楽をつくって表現できるようにする」という目標が各学年であげられている。
低学年では「簡単なリズムや旋律をつくって表現すること」、中学年では「旋律や音の組み合わせを工夫して表現すること」、高学年では「音の重なりや曲の構成を工夫して表現すること」が目標となっている。しかし、今までの自分の実践において表現領域については、歌や楽器の演奏や身体表現が中心で「おんがくをつくって表現する活動」が希薄であった。そこで、ふしづくりの活動を広げるためにコンピュータを活用してふしづくりを行うことを考え、一昨年度から実践してきた。そして、前年度までのコンピュータを用いた音楽の実践から、以下のようなメリットがあることが分かった。

 
(ア) 楽譜に表記したとおりにコンピュータが自動演奏するので、楽器の演奏が苦手な児童でもふしづくりにとりくむことができた。
(イ) コンピュータにデータを記憶しておくことでいつでも児童の作成したとおりにふしをコンピュータで演奏させることができた。
(ウ) 自分のふしのイメージに合わせて音色を選ぶことができた。
(エ) コンピュータにふしをデータファイルとして記憶しておくので、後からふしの修正・変更が容易であった。
(オ) 正確な楽譜にして印刷することができた。
(カ) 曲に対しての思いや願いを絵や写真、文字などで画面上に表現することができた。
 

しかし、実践していく中での問題点として、つくった作品においてお互いに聴き合い感想をもつという活動が、場所や時間の制約から学級内の友達や各班での発表に終わってしまい、それよりも広く発表される機会というのはほとんどなかった。また、時間的な制約で活動が不十分になることもあった。そこで、本研究では、コンピュータの活用をさらに一歩踏み込み、コンピュータネットワークを通して、学級内だけでなくより多くの人に作品を聴いてもらい、それに対して意見や感想をもらい、さらに進んだ段階では、ネット上の掲示板等を利用して意見交換を行うなの活動を行うことにした。つまり、コンピュータネットワークによってコミュニケーションの手段が増え、自分の曲を多くの人に聴いてもらいたいという願いやより多くの友達の曲を聴いてみたいなどの要求に応えることができるのではないかと考えた。事前に、児童の意識・実態をつかむためにアンケート形式で調査を行った。その結果、音楽の授業が好き、またはどらかといえば好きと答えた児童が8割ほどを占めた。きらい、どちらかといえばきらいの理由をみると、歌がうまく歌えないから、リコーダーなどの楽器の演奏が苦手だから、楽譜が読めないからなどの理由が多かった。日常の音楽活動をみると、歌に関しては苦手と感じている児童が多く、逆に楽器を演奏したり、合奏したり、新しい楽器に触れるなどの楽器に対しては大変興味をもって意欲的に取り組む傾向がある。ふしづくりに間する項目では、つくった曲を公開することには否定的だが、逆に他の人がつくった曲を聞いてみたいという思いを持っている児童は多かった。
また5年生の児童のほとんどが、2年前のコンピュータ導入時より各教科やクラブ活動で触れてきており、活動に対してもとても意欲的である。基本的なマウス操作やキーボード操作、ファイルを開いたり保存したりする作業も自分ででき、児童間でお互いに教え合いながら行っている。5年生の児童のうち、ほとんどの児童がインターネットという言葉をなんらかの形で耳にしている。実際にインターネットを使ったことがあると回答した児童も15%ほどおり、家庭等でのインターネットの普及の影響が関係しているとこが考えられる。電子メールについても9割の児童が耳にしたことがあり、約1割の児童は実際に使っているとこが分かった。コンピュータの活用についての質問では、インターネットで調べてみたいことがあったり、様々な人々と交流をしてみたいなど、コンピュータを活用してのコミュニケーションへの関心もみられる。
以上のことから、本単元では、コンピュータを活用して表現活動であるふしづくりを行い、さらにコンピュータネットワークを活用して、自分のつくったふしを工夫してホームページ形式で作成する活動を行う。そして、ホームページを見ながら作品を鑑賞し合い、お互いに意見交換をし合いながら交流を行うことで、音楽に対する意欲を高めながら、情報活用の実践力を高めることをねらいとした。

 
単元目標

コンピュータを活用しながら、曲の構成を工夫して、ふしをつくることができる。
コンピュータネットワークで友達の作品を聞き、自分なりの考えを持ち、交流することができる。

 
単元計画(5時間扱い)
  活動名 活動内容
第1時 コンピュータや音楽帳の使い方を覚えよう

コンピュータの基本操作を確認する。
音楽帳の使用方法を覚える。

第2時 音楽帳でふしをつくろう 音楽帳を使ってふしづくりをおこなう。
第3時 自分のふしのホームページをつくろう

一太郎スマイルを使って自分のホームページを作成する。

第4時 ふしを聞いて交流ページに感想を書こう

学級内の人のホームページを開いてふしを聞き感想を掲示板に書く。

第5時 交流ページの自分への感想に返事を書こう

自分あてに書かれた掲示板の感想を読み、返事を書く。

 
第1時の活動
 
(1) 本時の目標
コンピュータの基本操作を確認し、音楽帳の使用方法を身につけることができる。
 
(2) 本時の活動

電源の入れ方、マウスやキーボードの動かし方など、コンピュータの基本的な操作方法を確認し、第2時に行うふしづくりに向けてふしづくりをするためのソフトである音楽帳についての使用方法を覚えさせ、次時に向けての準備と意欲付けを行っていく。

  
(3) 本時の展開
第2時の活動
(1) 本時の目標
音楽帳をつかってふしをつくることができる。
 
(2) 本時の活動

音楽帳を使用し、自分のイメージしたふしをつくる。前時だけでは操作方法の習得が困難な児童もいると予想されるので、本時もふしづくりを行いながら操作方法をみにつけさせていく。また、コンピュータの台数が2人に1台割り当てとなっているので、前半と後半に分けながらふしづくりをさせていきたい。

 
(3) 本時の展開
 
第3時の活動
(1) 本時の目標
自分のふしを紹介するホームページをつくることができる。
 
(2) 本時の活動

児童用のワープロソフトである一太郎スマイルを使用して、前時までに作成した自分のふしを紹介するホームページを作成する。自分のふしのイメージや自己紹介などの文を文字の大きさや形、色等を工夫させながら作成させていきたい。また、文字入力について慣れさせる機会にもしていきたい。前時と同じように前半、後半で分けて作業させる。

 
(3) 本時の展開
 
第4時の活動
(1) 本時の目標
各自のホームページからふしを聞いて、自分の意見や感想などを持つことができる。
 
(2) 本時の活動

自分が作成してふしを発表するためのホームページは、前時までに作成してあるので、本授業では、「なるほどねっと」というホームページ閲覧ソフトを使用し、作成したページをお互いに見合いながら、ふしを聞きあい、自分なりの意見や感想を持つ活動をおこなう。次に、児童にとっては初めての掲示板に意見や感想を書き込む活動を行う。自分の意見や感想がリアルタイムに表示され、複数の人が同時に同じ意見や感想を見ることができる環境を体験しながら、次時に行う意見や感想に基づいて返事を書いたり、ふしやホームページの修正を行う活動への意欲付けを行っていく。

 
(3) 本時の展開
 
第5時の活動
(1) 本時の目標
交流のページへ書き込みされた自分へのメッセージに対して返事をかくことができる。
 
(2) 本時の活動

前時に書き込みされた自分宛へのメッセージに対して、返事を書き込む。メッセージをくれた相手のホームページを開き、返事を書き込ませるようにする。また、時間があれば自分のふしの修正をしたり、みんなに紹介したいおすすめのふしがあれば、おすすめのふし紹介コーナーに書き込みをさせる。

   
(3) 本時の展開

授業形態について
形態については、4学級を実践の対象とすることとコンピュータの操作についての助言や様々なトラブルに対応することができるようにするために、
1C2Tの形態をとり、T1が主に授業を進める形態をとった。

  

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